社会のために身を挺する機動隊
警察組織の中でも、機動隊はひときわ異彩を放つ存在です。
機動隊は、警視庁及び各都道府県警察本部の警備警察部門に属します。
県警によって編成は多少異なりますが、警備部内では機動隊員が圧倒的な人数を占めます。
機動隊は、特殊な装備と絶対的な縦の命令系統によって統制された部署で、違法なデモや暴動、騒擾に際して大規模な警戒・鎮圧・検挙にあたることが主な任務です。
そのため、機動隊の構成は体力のある若年層の警察官が中心になっています。
機動隊員になるには、配属希望として志願する、あるいは適性が認められて警備部門に配属となるのが一般的です。
または、柔道、剣道、逮捕術、けん銃のいずれかに秀でている場合、特別訓練員として遇されることもあります。
さらに機動隊には、専門的なスキルを要する機能別部隊として、銃器対策部隊、爆発物処理部隊、大規模災害に対処する広域緊急援助隊、山岳救助隊が編成されています。
国内最強の体育会系組織?
機動隊員の日常は、言うまでもなく厳しい訓練の連続です。
盾を用いた集団行動をはじめ、水中捜索に備えた潜水訓練、ロープ1本で人命救助するレンジャー訓練、爆発物や危険物の処理訓練など、万が一の危機にいつでも出動できるよう、日頃から体力づくりやトレーニングを重ねることが義務づけられています。
統制のとれた集団行動が重んじられるので、命令には絶対服従。
ちょうど「体育会系」そのものの気質と考えると分かりやすいでしょう。
上下関係を重んじる社会になじめない人にはストレスが大きい環境ですが、本来、組織内での団体行動を旨とする警察官にとって、体育会系気質は基本の延長に過ぎません。
そうした意味から、機動隊は緊張感のもとで身体を動かすのが好きな人には非常に向いている職種と言えるのではないでしょうか。
出動の歴史が刻まれた機動隊の装備
ニュース映像などで目にする機動隊員は、威圧感のある装備で全身を固めたものものしい印象を受けますが、隊員の身体と生命を保護する特殊装備には、過去の出動経験をフィードバックした成果がくまなく反映されています。
たとえば昭和30~40年代に、過激派や学生運動などによる集団武装闘争が多く発生したことも、装備の開発や改良を促す背景になっているのです。
その結果、機動隊のシンボル的な防護盾やヘルメットなどは、以前のジュラルミン製から、軽量で防弾性能のあるポリカーボネイト樹脂製へと進化しました。
しかし、人を守るのは、やはり人。
機動隊は、人間にしかできない、かつ最も過酷な任務に日々従事している公僕であり、機動隊員も一人ひとりは一警察官です。
将来、機動隊への配属を志望するなら、まずは最初の関門である警察官採用試験の突破を目指しましょう。